帰る所がある幸せ、待っていてくれる人がいる幸せを。

■ちょっぴり切なく、懐かしく思う12月

今年もあと半月。
九州や東北など、普段はほとんどない遠方からのご予約が多くなるのが年末。
帰省の途中で1泊し、家族の元へ帰る方が多くなるためのようです。

「福岡の兄のところへ、両親と一緒に行くのでその途中に」という東北の方。
「仙台の実家に今年は車で帰るので、一日ではキツイから中間の岡山でひと休み」という九州の方。

そんなお電話を聞いていると、
年末年始が多くの人にとっていかに特別なものなのかを改めて思います。
ふと、自分ごとを思い出してちょっぴり切なく、そして懐かしく思う12月。

数年前に両親が相次いで帰らぬ人になるまでは、
正月の帰省は当たり前だった20数年間。

年末までの仕事を終え、新年になってから帰省する。
実家のある東京まで車で12時間ぐらいかけてヘトヘトになって行ったこともありました。

移動は新幹線が多かったですが、
幼かった子供達を喜ばせようと、岡山駅から寝台特急サンライズ瀬戸に乗って、翌朝東京駅に着いたことも。
混雑する東京駅では待ちかねた両親が出迎えてくれて、顔をほころばせて待っていてくれました。

実家の客間にはいつも、私達4人分の布団を母が敷いてくれていました。
寒くないようにと重ねた布団、背の高い夫用にロングサイズの毛布。
成長を何より楽しみにしてくれていた子供達にはお菓子やおもちゃ。
喧嘩しないように、必ず同じ物を2人分。
いつも、ありったけの愛情で迎えてくれました。

餅つき機でついたお餅を父が平らに伸ばして切り餅にし、母が雑煮にしてくれました。
東北出身の父の好みに合わせ、すまし汁ではない、ちょっぴり濃い味のおつゆに、
鶏肉や青菜と一緒にトロンとしたお餅が入ったおふくろの味。
あれが一般的な味だと思って育ったけれど、だいぶ東北カラーが強かったのだと知ったのは、
自分が家庭を持ってからでした。

いつだったか、母がいなくなったらこのお雑煮はもう食べられないのかなと、
ぼんやり思ったことがあります。

毎年の帰省でなくても、たまには家族4人で正月は違うところへ行ってみたいなと思った時期もありました。
子供達が成長してくると両親も気遣って、
せっかくの正月休みだからスキーにでも出かけたらと、勧めてくれたこともありました。

夫は長男ですが、正月だからといって特別に帰ってこなくていい、
普段なかなか帰れないのだから東京へ帰省したらいいといつも言ってくれた、県内在住の夫の両親にもとても感謝しています。

年末になると数の子や岡山特産のカキなどを送り、
新年は何日に帰れそうか、新幹線の切符はもう買ったか、子供達は風邪をひいていないか・・・
心配症の母とのそんな何でもない電話の会話を、懐かしく思い出します。

ことば数の少ない父は、母の傍らで晩酌しながら静かに電話を聞いていたでしょう。

台所のストーブにはいつも、翌日のおかずの用意。
切干大根だったり、里芋の煮物だったり。
母の真似をして、家のストーブの上に鍋をおく。
家業と主婦業で、いつもフル回転だった母の効率の良さにはとても及ばないのですが、
そんな時はちょっぴりドヤ顔で母の遺影に目をやります。

「忙しいのに、がんばってるね」
そんな声が聞こえてきます。

■家族と食卓を囲む、その飾らない幸せ

人混みの中、いつもお参りに行った西新井大師。
迎えに来てもらった最寄り駅。
東武線の駅で降りても、両親のいない「故郷」は違う町並み。

みかんや岡山の旬の物を、宅急便で送ることはもうない。

「じゃ、待ってるね」
と言ってくれるはずんだ声は、もう聞けない。

「ただいま」
と開ける玄関のドアは、もうそこにない。

大学生と高校生の子供達が巣立つのはあと数年。
これからは自分達が待つ人になり、帰る家になっていく。
両親がしてくれたように。

いつも楽しみに、ただ待っていてくれた両親に感謝しています。
あったかい思い出を残してくれた。

家族と食卓を囲む、その飾らない幸せ。
叶うことなら、もう一度。もう一度だけ会いたい。
一緒にご飯を食べたいな。

夢に出てきてくれたら、
好きだったお刺身や甘い物をたくさんたくさん並べたい。

当たり前過ぎて、なかなかわからない。
帰る所がある幸せ、待っていてくれる人がいる幸せ。

それを改めて教えてくれた、お客様に感謝。
今年一年、日々を共に過ごしてくれた家族に感謝。
共に働いてくれた、高原の宿ロマンツェのスタッフの皆さんに感謝。

帰省シーズン、事故のニュースが多い昨今、車に乗る方はどうか安全運転で。
電車、飛行機の方もご無事を祈っています。

あなたの「ただいま」を待ちわびる、大切な人達のために。

新しい年が幸せな一年でありますように。
どうぞ良いお年をお迎え下さい。

■家族っていいもんだな。春になったら一緒にどこかへ出かけたいな。
「お客様の声・春」

⇒ http://romanzelog.info/koe/


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