本当のクリスマスプレゼントは・・・
■サンタの来る家庭にしたかった
クリスマスソング、ツリー、ポインセチアにリース・・・
庭先をイルミネーションで飾る家庭を見かけると、年末を感じます。
私の子供時代は、人々が今ほどクリスマスに熱心でなかったと思います。
忙しい年末、親もそんな余裕はなかった時代。
「サンタクロースってほんとにいるのかなあ~」
小学生ぐらいだった私の問いに、超現実的だったうちの母は、
「さ~、いないんじゃない?」
と、洗濯物をたたむ手を休めずにあっさり答えました(笑)。
成長して、サンタはいないのだと気づいた時、
「もしかしたら、本当にいるのかもしれない」
と子供の時に信じていたら、ワクワクして楽しかっただろうなあと、
何となく思いました。
そんな影響もあってか、自分が子供を持った時には、
「サンタの来る家庭」にしたいという思いがありました。
大人になる前に、サンタを信じてクリスマスにワクワク待っているような、
そんな経験はきっと、その子にとってかけがえのない思い出になると思ったのです。
■あの手この手、そんな話でも本気で信じてくれていた
感受性豊かな娘と、サンタの存在そのものよりも出されるごちそうが気になる息子。
クリスマスが近づくとツリーを飾り、
「きょうはサンタさんが来る日だから、お手紙入れとこうなあ~」
と、子供心をさり気なく盛り上げ・・・
娘が字を書けるようになった5才ぐらいから、左右ひっくり返る鏡文字で真剣に手紙を書き、
イブの夜にはダイソーで買った大きな赤い靴下に、
サンタ宛の手紙を入れていました。
幼い頃は楽勝で、サンタからのクリスマスカードとプレゼントに
「わ~い!」と喜んでいましたが、
年齢が上がるにつれ、だんだん高度になっていき・・・
「サンタさん、なんでいっつも●●ちゃんの(自分のこと)ほしいものわかるんだろう~?」
「なんで●●ちゃんの名前とおうち、知ってるんだろう~?」
「うちには煙突がないのに、どうやって鍵開けておうちに入るんだろう~?」
数々のピンチを乗り切るべく、
サンタの1年を描いた絵本を買ってきては読んであげたりもしました。
「あのね、サンタの国ではね」という絵本は、
サンタの国には大勢のサンタがいて、
人並みに夏休みがあり、海水浴などを楽しむ様子が描かれていました。
春夏秋は世界中の子供たちの把握やプレゼントの準備をしたり、
担当する国々の分担を決める会議など、
いかにも本当らしく(子供にとっては)、大人が読んでもワクワクしました。
「●●ちゃん、今度は何をお願いするの?」
「えっとな~、保育園でみんな乗ってる一輪車にしよっかな~」
「え・・・あんまり大きいのはダメだよ。サンタさんにも都合があるからね」
(隣でお父さん爆笑)
「え~、そうなん?重いのはソリに乗らんのん?」
「うん、、重い物は普通の人に変装して、宅急便に出すんだって。
あやちゃんのお母さん、サンタさんに会ってるかもしれんね」※
※クロネコ●マトで働くお友達のお母さんのこと。
「ええ~、いいなあ~、あやちゃんのお母さん!」
大きくなった今では鼻で笑われてしまうようなそんな作り話でも、
本気で信じてくれていました。
「まだ、もうちょっと信じていてほしいな~」
と願っていた頃、保育園のお迎えの時、最大のピンチが。
サンタは来たかという話に男の子が一言。
「プレゼントの袋にな~、トイザらスのレシート入っとたんで~!
あれ、サンタじゃねーわ!」
と、爆弾発言に母さんサンタ危うし。
しかしなんとか巻き返し、小学校に上がってもまだ信じてくれていました。
「おとうとには、~~~の~~~を下さい。」
漢字も書けるようになり、4才下の弟の分まで一緒に書いてあげたり。
が、しかし知恵がつき、サンタ宛の手紙をこっそりのぞくと、なんとサンタへの質問状が。
「サンタさんはどこに住んでいますか?」
「どうやってソリは飛ぶのですか?」
「サンタさんは何才ですか?」
・・・・・・確実に返事がもらえるように、
自分のお気に入りの鉛筆を一緒に入れる念の入れよう。
前の年にもらったサンタからのカードの筆跡が、母のものに似ていると疑い始め・・・
「これは困った・・・」
筆跡から足がついては大変!
次からは簡単な英語を使って返事を書きました。
サンタ名は「Henry」で。
「どれどれ? おお~、英語じゃな~。私の名前はヘンリーです、だって」
わざとらしいな~と自分でも内心ひやひやしながら、
なんとか本物らしさを演出しようとしていました。
小学校2年生の頃だったと思います。
クリスマスの朝、リビングの外のウッドデッキに、こっそり鈴を落としておきました。
シャンシャンシャンシャン・・・と鳴るソリの鈴を、
サンタが落としていったと信じてくれるように。
結果、光る鈴を見つけて娘は大喜び。
「わあ~い!サンタじゃ~!サンタの証拠見っけた~!」
ところがしばらくたって、
七五三でもらった破魔矢の鈴が切られてなくなっていることに気がつき、
サンタの正体を知るところとなります。
「・・・・なんで嘘ついたん・・・」
さすがに初めはがっかりしたのでしょう。
そう言って責められました。
「小さいうちは、サンタの来るおうちにしたかったんだよ」
母さんサンタもお役御免の時が来たのです。
■サンタは実在しなくても、思い出が何よりのプレゼントだった
サンタが来なくなり、娘が小学校高学年の頃、
朝起きると枕元に娘からのカードがおいてありました。
「大人がプレゼントもらったっていいんじゃ(いいんだよ)」
親が寝入るのを待って、がんばって起きていたのでしょう。
だましていたわけじゃない、子供の夢を壊さないようにしていたのだと、
わかってくれたんだな~と感じた出来事でした。
20才になった今、大学にアルバイトに忙しい日々。
親元を離れ、学校の課題で徹夜することもあるリケジョ。(母は文系・・)
来月の成人式の振り袖は、30年前に私が成人式で着たもの。
「ママフリか~・・・」※
とボソッとつぶやく、そんな現代っ子です。
※「ママの着ていた振り袖」の略語だとか。友達の間ではこれで通じるそうです。
空気の澄んだ夜空を、星の間をサンタが本当にソリを引いて走っているんじゃないかと、
年甲斐もなく見上げていた夜。
実在しなくても、サンタを信じていた幼い子供たちとの思い出が、
何よりのプレゼントだったなと、今では思います。
母さんサンタも、一緒に夢を見ることができました。
今では使わなくなった古いガラケーの待受け画面。
イブの夜だけ、ソリを引いたサンタが空を走っていきます。
「昔、子供たちと一緒にこの画面のサンタを何度も見たなあ~」
リビングに飾ったツリーには、あの日の大きな赤い靴下が下がっています。
サンタに返事を書いてもらおうと入れていた、1本の鉛筆と一緒に。
■家族それぞれの、冬の思い出
⇒ http://romanzelog.info/koe/item22/