犬と暮らし、犬に支えられている生活。
長かった冬が過ぎ、3月も後半です。
三保高原への山道の桜がほころび始めるのももうすぐ。
そろそろツバメが行き交い始め、主のいない空き家の巣をメンテしようと、
つがいの2羽が代わる代わる草木や泥を運んでリフォームを始める季節。
自宅のまわりを犬と散歩していると、沈丁花の香りが風にのって春を告げています。
「いい匂いだね~」
犬に話しかけると、聞こえているのかいないのか、フンフンと地面の匂いを嗅ぎながら歩く愛犬。
愛犬がわが家にやってきたのは、ちょうど3年前。
前の愛犬との突然の悲しい別れから間もなく、
ボランティアの方々のお世話で迷い犬のミニチュアダックスをもらい受け、
わが家の一員となったのは、暖かくなり始めたこの季節でした。
「おすわり」「待て」はなんとかできる。でも「お手」がわからない。
甘えん坊で明るい性格。あまり我は強くない。ちょっとオトボケ。
特技はゲージをよじ登ること。自分をなでさせること。
テニスボールを庭に放ると、ダダダダーーーッと走っていって、くわえてちゃんと戻ってくる。
「取ってきたからなでて」
夕飯の片付け物をしていると、私の後ろでじーっと待っている。
残り物のトマトをひとかけ、りんご、ホーレンソウのヘタなど、
「お手」の練習にもらえるのをわかっているので、その場を動かない。
目が合うと、その目をさらに丸くして「きょうは何?何??」
足元をウロウロしつつ、ゴミ箱の辺りをフンフン。
自分と同じ色の茶色のキッチンマットに寝そべったり、お座りしたり、また寝そべったり。
ちょっといなくなると、「あれ?どこ行ったかな?」と犬の姿を探して、
テーブルの下に目をやったり。
「きょうはちょっとしんどいな~」と思いつつも、
キッチンから時々振り返って犬に話しかけながら家事をする。
ふと、愛犬がいなくなってしまったら、と考えると、
それはとてもとても寂しいだろうなと思うことに気がつく。
それだけ、犬がそばにいてくれるのが当たり前になってしまっている日常。
気がついたら一緒にいて、「いないと困る」存在になっています。
言葉は話さないけれど、「おかえりおかえり~!」と全身で喜びを表現してくれる。
「まだご飯もらってないよ~!」と、ゲージをよじ登って必死に訴える。
そんなオトボケな存在に、どれほど助けられているか。
「支えてくれたたくさんの人達に感謝しています」
スポーツ選手のインタビューなどでよく聞かれるセリフです。
犬と暮らし、犬に支えられている生活も、それに通じるものがあるような気がします。
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きょうの「お手」のおやつは何をあげようかな。
日の長くなった山道を下りる帰り道、車の中で考える春です。
(この記事は2014年3月31日に投稿したものです)